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技術情報 樹脂成型の用語集

アニール/アニーリング 切削加工前あるいは切削加工途中でのアニーリング処理は、寸法安定性が必要な時によく行われ、製品の”経年変化”をいかに抑えるのかがポイントとなります。経年変化は使用環境(主に雰囲気温度)と製品中の残留応力が大きく影響し、使用環境温度が上がれば一般的に変化は大きく、残留応力が少なければ小さく抑えることができます。従って、適正なアニーリング条件は個々の使用状態や製品形状および成形条件などによって変わってきます。一般的には、製品の使用環境温度+10℃~20℃の温度でアニーリングを行うのが良いとされています。アニーリングを行う際には、素材の形状や加熱温度、処理時間、その後の放置時間なども関連し、取り扱いのノウハウが必要となります。 製造履歴(トレーサビリティ) ここ数年、「トレーサビリティ」という言葉が注目を集めています。元々は、計測機器の精度や整合性を示す用語として使われてきましたが、最近では野菜や肉などの生産・流通履歴も意味するようになっています。計測機器では「不確かさが全て表記された、切れ目のない比較の連鎖を通じて、通常は国家標準又は国際標準である決められた標準に関連づけられ得る測定結果又は標準の性質」と定義され、食品では「追跡可能性」ということになります。弊社の場合も食品と同様に「追跡可能性」という考え方に立ち、弊社で製作された製品のLot.Noが確認できれば、使用原料まで遡りその製造履歴を調査することが可能です。 バリ バリとは、樹脂を加工する際に端面や孔の出口などに発生する、素材の残材部分を意味します。形状は様々ですが細いヒゲ状であるケースが多い。配管の内径部分にバリが発生すると流体の流れを阻害し、トラブルにつながるケースもあります。バリの発生を抑制する加工技術およびその検査技術も弊社のノウハウのひとつです。 ビードレスR PFA製の管状部品(主にチューブ、継手など)を溶着により接合する際に、管の内径側に発生する”ビード”と呼ばれる突起の発生を抑制する技術またはその構造。この”ビードレスR” 溶着技術を用いる事により、配管の接合強度の低下を招くことなく接合することが可能となり、併せてコンタミの滞留防止や液だまり防止などに効果があります。 “ビードレスR” は、株式会社陽和の登録商標です。 ヒートサイクル試験 弊社の場合、試験サンプルを低温と高温のそれぞれに一定時間保持した後、その作業を複数回繰り返し実施します。その後、試験サンプルの物性値または機能特性の変化などを確認する行為を”ヒートサイクル試験”と称します。ヒートサイクル試験の設定温度や回数は、製品の使用条件や機能により異なりますので、打合せにより決定します。 フッ素ガス フッ素樹脂が、空気中で熱分解したときに発生する生成物を含む気体の総称です。PTFEは、350℃以下で取り扱う場合は問題ありませんが、この温度を超えて使用する場合には熱分解を生じます。350℃以上で微粒子状物質、460℃以上でフッ化水素、470℃以上でパーフロロイソブチレン、500℃以上でフッ化カルボニル、640度以上で四フッ化炭素が発生するといわれています。フッ素樹脂を高温下で取り扱う場合は、毒性の高い物質が発生するおそれがありますので、換気を十分に行なう必要があります。 ボイル試験 煮沸試験。試験片を液中に浸漬、加温し、一定時間経過後の寸法、形状その他物性を確認します。加温時の液との反応性もしくは熱に対する耐性等を確認することが目的の試験です。 溶接 煮沸試験。試験片を液中に浸漬、加温し、一定時間経過後の寸法、形状その他物性を確認します。加温時の液との反応性もしくは熱に対する耐性等を確認することが目的の試験です。 溶着 ここでは、PTFE溶着とPFA溶着の2種類の溶着方法を紹介しています。?PTFE溶着とは1次加工後の素材全体を融点まで加熱し融着させる工法です。これは変成PTFE特有の適度な溶融粘度と融着性を利用したものです。?PFA溶着とは、遠赤外線により局部的に融点まで過熱し溶着することを言います。この原理は、溶着するパイプ、チューブ等の端面をヒーターに接触させずにヒーターからの放射熱(高効率遠赤外線)で加熱溶融させ規定の圧力を加え圧着接合するものです。加熱溶融、圧着、冷却までを数値制御により自動的に行うため極めてバラつきの少ない作業が可能です。材質はPFA同士、またはPFAと変成PTFEの組み合わせができます。またPFA同士の溶着では”ビードレスR” 溶融一体化 溶着を適切な加工条件で行った場合、同材質であれば界面は溶融し一体化します。この場合、溶着箇所は、一体化により他の部位と同様の強度が得られますので、加圧しても、この部分では破断しません。PFAチューブなどの端面溶着の場合、ビードによる面積増大により、破断は溶着部以外で生じるという試験結果が出ています。ただしPFAと変成PTFE等の類似の分子構造を持つが異材質である場合の溶着は、溶融一体化に比べ、強度の低下を生じるという試験結果がでています。 クリープ特性 フッ素樹脂などに長時間荷重を加えると大部分の変形は一時間以内に起こります。そのまま荷重を加え続けると単位時間当たりの変形量は小さくなりますが、長時間連続的に変形は続きます。これをクリープ現象を呼びます。ある応力を加え、一定歪みをあたえ、その歪みを保っている場合、クリープ現象により応力は次第に緩和されます。即ち応力緩和現象が起こります。例えば、ボルト締めのフランジ継手において、フッ素樹脂製のガスケットはクリープ現象を起こし、その結果、時間の経過によりボルト締め圧力は減少します。これが漏れの原因に繋がりますが、大部分の応力緩和は短時間に起き、その後の変化はわずかですので、翌日増し締めし、締め付け圧力を保持することで漏れを防止することができます。フッ素樹脂の中でも耐クリープ特性の改善されたグレードの原料もあります。 高結晶化度 ガスや薬液に対し、分子の密度が大きいほど透過量が減少します。結晶性のプラスチックの場合、この密度は結晶化度に依存します。PTFE素材は予備成形→焼成→冷却により成形されますが、結晶化度は冷却速度によりコントロールできます。弊社では、原料特性に応じた焼成・冷却パターンを用いることで、高結晶化度の素材を成形しています。結晶化度は素材の比重を測定することで検証することができます。 コンタミのパージ特性 半導体の製造工程では、コンタミ(微細なゴミ)による基板の汚染が問題となります。例えば、純水や薬液などにコンタミが混入しないように、それを供給する配管等を洗浄しますが、配管の繋ぎ目などに凹凸や隙間などがあると、そこにコンタミが残留します。これを洗浄するのに、大量の洗浄液が必要となりますが、管内が滑らかであれば、スムーズに排出できます。この特性をコンタミのパージ特性といいます。弊社のPFA”ビードレスR” 溶着技術は、コンタミの残留を低減し、パージ特性に優れています。 耐プラズマ特性 半導体の製造工程(前工程)では、非常に強いプラズマエネルギーを利用した薄膜形成工程があります。(プラズマCVD法:つくる薄膜の種類に応じて原料をガスで供給し、触媒反応を利用して膜を推積させるものです。触媒反応を起こさせるにはエネルギーが必要ですが、このエネルギーにプラズマを利用するものがプラズマCVD法です。) その装置内に使用される部品の材料がプラズマで劣化するとコンタミの発生に繋がり、薄膜の汚染の原因となります。そのため耐プラズマ特性の良い材料が必要とされます。 耐放射線性 放射線とはX線、γ線などの電磁波並びにα線、β線、中性子線等の粒子線の総称。有機材料の場合、放射線による特性低下の原因は高分子鎖の間の結合(架橋)と分子鎖の切断及び二重結合等の不飽和結合の増大によります。有機材料では、力学特性が共通する特性であること、また電気特性の変化は一般的に力学特性が失われてから低下することが多いことから、引っ張り試験による破断強度と破断時の伸びの低下を耐放射性の評価基準としています。 耐薬液透過性 フッ素樹脂は抜群の耐薬品性をもち、その特性を生かし、強酸、強塩基を使用するタンクや配管、バルブ等に多く使用されています。しかしながらフッ素樹脂も高分子材料であり、薬液の浸透、透過がないわけではありません。薬液の浸透は膨潤等による樹脂の汚染、また圧力変化がある環境化では減圧時には浸透液の逆流による内部液体の汚染等も考えられます。耐薬液透過性の向上策としては焼成後の冷却速度の制御による結晶化度、密度の増加が挙げられます。弊社では使用用途に応じて焼成パターンを使い分け、薬液透過の低いフッ素樹脂(PTFE)素材の製作が可能です。 低イオン溶出特性 フッ素樹脂はその特性上、高いクリーン度が要求されます。特に半導体製造工程の純水、薬液等の汚染は生産に大きな影響を及ぼします。溶出するイオンの種類には、製造工程にて発生もしくは混入するコンタミと不安定な末端基の酸化やオゾンとの反応、加水分解によるものが考えられます。いかに反応性の低い末端基を持つかがイオン溶出の低い材料となる一つの鍵となります。これに対応し、安定した末端基を持つ、低イオン溶出特性の優れたフッ素樹脂(PFA)を半導体グレードとして、原料や素材にて各社リリースしています。 集積配管 配管をプレートに集約する技術。従来はチューブにより2次元もしくは3次元的に配列していたものを切削加工と溶着技術により、ひとつのプレートやブロックの中に流路を形成するというもの。配管スペースの大幅な縮小が可能となります。 マニホールド 多岐管。配管の分岐もしくは集合用に使用される部品の総称。弊社では溶着による継手同士の溶着のマニホールド、ブロックタイプのマニホールドを製作しています フッ素樹脂 分子中にフッ素を含有する樹脂で、PTFE、PFA、PCTFE、PVDF等10数種類あり、耐熱性、耐薬品性、耐候性、非粘着性、低摩擦特性、電気絶縁性などに優れた特性を持ちます。一般的な樹脂に比べ高価ではありますが、その特性を生かして過酷な条件下で使用し得る工業材料として利用され、特に半導体などのハイテク分野では欠くことのできない材料です。フッ素樹脂は、テフロンRという呼称を良く使われますが、テフロンRは、デュポン社の登録商標です。 PTFE(ポリテトラフルオロエチレン) テフロンR、4F、などと呼ばれ、フッ素樹脂の代表であり、最も多く使用されています。PTFEは加熱しても流動しないので、射出成形や押出し成形ができません。通常は焼結法で成形され、複雑な形状のものや、寸法精度を要するものは機械加工で仕上げて製品とします。 充填剤入りPTFE PTFEよりも耐磨耗性、耐クリープ性、静電防止、機械的強度などを向上させる為に、グラスファイバー、カーボン、二硫化モリブデン、ブロンズなどの充填材をある組成で混合した素材です。色々なグレードがありますので、上記の特性が必要な場合にはご相談ください。 NewPTFE ダイキン工業が製造した変成PTFEの商品名。ダイキン工業の登録商標。 変成PTFE PTFEの主鎖を部分的変成させたものです。この処理により、クリープ特性、屈曲特性が改善されPTFEの使用用途を拡大しています。詳しい変成処理に関しては不明。 架橋PTFE PTFEは放射線により分解する代表的なポリマーと言われてきました。しかし融点近傍の高温下、不活性ガス雰囲気中で放射線を照射することにより架橋させることができます。この架橋処理によりPTFEの耐摩耗性、耐クリープ性等が大幅に向上し、この素材を称して”架橋PTFE”と呼びます。 PFA(パーフルオロアルコキシアルカン) 4Fと呼ばれますが、PTFEとの一番の違いはインジェクション成形が可能な点です。これはPTFEの主鎖に部分的に-O-Rf(Rfはパーフルオルアルキル基)の側鎖を持つからです。近年特に半導体製造装置分野で用途が拡大してきており、イオン溶出レベルを低減したグレードが主流となってきています。 PVDF(ポリビニリデンフルオライド) 2Fと呼ばれます。PTFEと比べて機械的強度や衝撃強度は高いのですが、連続使用温度は150℃と劣ります。また、ケトンやエーテルのような極性溶剤やアミンによって軟化や溶解が起こります。PTFEと比べて流動性も良く、射出成形が可能です。 PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン) 3Fと呼ばれます。耐熱性や耐薬品性はPTFEより劣りますが、機械的強度は優れています。透明性や流動性は良く射出成形ができ、成形加工しやすいフッ素樹脂です。 高機能樹脂 耐熱性、耐薬品性、耐摩耗性など、優れた特性を持ち、機能部品として使用されるプラスチックの総称です。 PI(ポリイミド:ベスペル、TIポリマー、セプラ) 主鎖にイミド結合を持ち、耐熱性(連続使用温度250℃以上)に非常に優れた樹脂です。また、難燃性、強度特性、寸法安定性も優れています。近年のエレクトロニクスの発展に伴い、多くの会社で種々の化学構造のものが開発されています。デュポン社(ベスペル)、TIポリマー(東レ)など PEI(ポリエーテルイミド) 優れた耐熱性と機械的強度を持つイミド結合と良好な加工性を示すエーテル結合が組み合わされた樹脂です。優れた耐熱性(連続使用温度170℃)、機械特性、難燃性、電気特性、環境特性を持ち、燃焼時の発煙量も少ないのが特徴です。 PAI(ポリアミドイミド) PAIは、非結晶性樹脂であり、優れた耐熱性と機械的強度を持つイミド結合と良好な加工性、強靭性を示すアミド結合が組合わされたものです。その特長は、耐熱性(連続使用温度250℃)、高い耐熱変形性(荷重たわみ温度279℃)、機械特性(特に引張強度&耐衝撃性)、耐疲労性、難燃性、摩擦・摩耗特性、耐ストレスクラック性に優れています。 PBI(ポリベンゾイミダゾール:セラゾール) NASAがAFMLと共同で開発し商品化したスーパーエンプラの一種です。特にスペースシャトルの燃料供給ポンプの断熱材に使用されたことは有名です。最近はその優れた耐磨耗特性や耐スパッタリング特性が注目され、半導体・液晶製造装置の部品として多く使用されています。 PEEKR(ポリエーテルエーテルケトン) PEEKR ポリマーは、ビクトレックス社(英国)によって製造されている高性能熱可塑性プラスチックのブランド名です。日本ではビクトレックス・エムシー株式会社がVICTREXR PEEKR ポリマーの販売、市場開発、テクニカルサポートを担当しています。VICTREXR PEEKRは半結晶性の線状芳香性ポリマーで、耐熱、耐磨耗・耐薬液特性に優れ、現在使用されている様々なポリマーと比較しても、高性能を有する熱可塑性プラスチックと認められ、航空宇宙、自動車、半導体、電気電子、一般工業、医療などの広い分野で採用されています。

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